令和7年10月27日(月)~29日(水)、兵庫県議会文教常任委員会(管外調査)にて新潟県を訪問。先進事例となる「教育施策」を調査しました。特定テーマ「部活動の地域展開」を中心に、3日間の調査報告をいたします。
①阿賀野市教育委員会 (阿賀野市)中学校体育連盟(中体連)及び吹奏楽連盟主催の「大会参加費補助事業」を実施。阿賀野市データ(R7人口:38,832人、中学校:4校で987人、部活動数は約30)。地域展開の推移(R5は3つ:野球・剣道・陸上長距離、R6は4つ:ソフトテニス・バレーボール・女子バスケットボール×2、R7は3つ:柔道・卓球・バトミントン)。地域クラブなし(男子バスケットボール、陸上:トラック・フィールド、吹奏楽)。R8年夏以降、休日の部活動は原則行わない。「児童生徒各種大会参加費補助金」(3/4補助)+「ボランティア活動補助金」(1/4補助)→R6統合へ。市内在住のすべての生徒が対象へ。現制度を改める。R6実績(学校255人で約250万円、地域クラブ12人で約40万円、市外地域クラブ16人で約30万円を交付)。成果(公平な支援、保護者や指導者の負担軽減)課題(判断基準の明文化、内部用判断フロー整備、市HP掲載や説明会の実施を検討)。以上、阿賀野市教育委員会の調査でした。
②新潟県教育委員会(新潟市中央区)部活動の地域展開に関する広報リーフレットの雛型を県が作成し、各市町村が活用することで、生徒・保護者・教職員に向けた効果的な周知・広報等に取り組む。新潟県(30市町)、ゴール設定(地域展開)はR7(25市町)R8(5市町)。設置クラブ数(R7年5月時点、計638クラブ。内訳、スポーツクラブ533+文化・芸術クラブ105)。参加生徒数(11,763人、県内中学生の23.6%)。教員特殊業務手当(部活動手当)支給実績の減少(R4:66,853件、R6:45,755件)31%減へ。追い風の要因(先行事例:村上市、長岡市、燕市)(スポーツ庁アドバイザー:3名/10名、県内委員へ)(知事と市長村長の懇談会:県内5カ所の開催)。以上、新潟県教育委員会の調査でした。
③史跡 佐渡金山(佐渡市)調査の目的は、文化財の保存と活用について。日本最大級の金銀山跡、2024年に世界文化遺産に登録。最盛期には年間400㎏以上の金を産出(江戸時代、幕府の直轄鉱山)。手掘り作業(手工業)が世界的な価値が高い。兵庫県では、姫路城(世界文化遺産)や生野銀山。共通点が多い。以上、佐渡金山の調査でした。
④トキの森公園(佐渡市)調査の目的は、社会教育・地域教育の推進について。絶滅危惧種である朱鷺(トキ)の保護・観察・普及及び啓発を目的とした施設。日本産最後のトキ「キン」(名前)の顕彰碑、トキ資料館やトキふれあいプラザ等が設置。保護活動は中国からのトキを導入、現在の野生復帰(約600羽)。兵庫県コウノトリの郷公園と共通点が多い。以上、トキの森公園の調査でした。
⑤佐渡市教育委員会(佐渡市)安全管理マニュアルや指導者手引き等を地域クラブ活動の指導者に配布し、生徒の安全確保のための体制整備に取り組む。また、生徒のニーズに応じた多種多様なスポーツ・文化活動の機会を提供。佐渡市データ(人口47,228人、約856㎢で東京23区の1.4倍、児童生徒数2,880人で小学校22校と中学校12校:R7年5月現在)(高校等5校、専門学校2校、大学0)。佐渡市4大スポーツ大会(マラソン、ロングライド自転車、スイミング、トライアスロン)。地域クラブは2種類。スキップ型(スキルアップ、技術向上)とエンジョイ型(楽しむ目的)に分類。スポーツは、スキップ型6種目+エンジョイ型18種目。文化芸術は、スキップ型1種目+エンジョイ型20種目。エンジョイ型は、小学高学年も参加可能。エンジョイ型選択者は、どれでも参加可能(1回につき500円、年間10回を想定)スポーツ国際交流員の在籍(3名)、アメリカ・ドイツ・インドネシア。アメリカ交流員(野球の指導)、ドイツ交流員(卓球の指導)、インドネシア交流員(バドミントン)とのこと。以上、佐渡市教育委員会の調査でした。
⑥新潟県立新潟翠江高等学校(新潟市西区)調査の目的は、離島や中山間地域の高校への遠隔授業配信について。「遠隔授業配信センター」として、離島や中山間地域の教育支援を実施しています。ICTを活用した授業配信、個別最適な学びの推進等の事例を学びました。2004年、県立新潟高校(通信制課程)と県立船江高校(夜間定時制課程)と県立黒埼高校(全日制課程)の3校が統合。単位制を採用。生徒の主体性を育み、社会的自立を促す教育方針。新潟県では少子化や学校の小規模化が急速に進んでいます。「学習の機会の確保」及び「教育の質」を維持していくために、今後「遠隔教育」が重要な役割を担っていくことのこと。R3年度からR5年度までの3年間、国の事業(地域社会に根差した高等学校の学校間連携・協働ネットワーク構築事業~COREハイスクール・ネットワーク構想~)を活用した「新潟の未来をSaGaSuプロジェクト」にて、遠隔教育の実証研究を実施してきたとのこと。3つの「探す」をキーワードに、①「自分」を探す ②「学校の在り方」を探す ③「地域未来の在り方」を探すというもの。R7年度は、17校で延べ23科目にわたり遠隔授業を実施しているとのことでした。次年度以降、「遠隔授業配信センター」には各教科・科目の専任教員が配置され、小規模校における多様な科目開設や生徒の習熟度に合わせた授業の実施に取り組むとのこと。驚くことに、複数の学校を同時に接続した形態の授業も実施していくことでした。
最後に、「セルフデザインハイスクール」というコンセプトを学びました。これは、従来の定時制課程の仕組みをベースとした「通学コース」と通信制課程の仕組みをベースとした「オンラインコース」が設置され、生徒それぞれの学習状況や生活スタイルに合わせて、両コースの授業を選択することが可能となるというものでした。
「配信センター」(拠点校)と「複数の受信校」(連携校)の遠隔教育推進体制のイメージを兵庫県内に具現化していきたいと強く感じた次第であります。
以上、概要の報告でした!
 
  
  
  
  