なかい隆晃の記事

特別支援教育(LD)について【文教常任委員会】~8/18議事録にて~

議会活動
議会活動

○なかい隆晃委員
 5ページのLD等の現状と今後について伺う。
 通級による指導について質問する。5ページ上段のLD――学習障害などの数値に注目した。特に小中学校の4桁の数字には驚いている。また、下段データによれば、直近10年間の推移が比較通級指導では平成28年が2,419人から令和7年度が7,347人、約3倍の増加である。ただし、令和2年から高校が追加されたため、令和2年の3,604人から令和7年は7,347人と約2倍の増加となる。全国的にどうなのか疑問を抱いたため調べたところ、令和4年12月13日に文部科学省が公表している通常の学級に在籍する教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査では、小中学校において、知的発達に遅れはないものの、学習面または行動面で著しい困難を示す割合は8.8%高校では2.2%であった。今年7月16日、文部科学省より通知があった令和5年度通級による指導実施状況調査の結果によると、全国的に全体では20万3,376人、前年度比5,033人増であった。うち、公立小学校では16万6,403人、前年度比1,835人増、公立中学校では3万4,393人、前年度比2,878人増で、公立小中高の全てで前年度より増加していた。
 そこで、本県の通級による指導について、現状と傾向をお尋ねする。


○特別支援教育課長
 全国的に増加している中で、兵庫県も並行して増加している状況である。ご指摘のとおり、通級による指導は右肩上がりで増えている。全国調査の結果でも、令和2年から5年にかけて全国平均で約1.5倍伸びているが、本県は約2倍なので顕著だといえる。ただ、小中学校に限ると全児童生徒数のうち通級指導を受けている割合は全国と大差がないので、兵庫県だけ突出して通級指導の割合が多いわけではない。全国が右肩上がりで増えている中で、本県も同じような傾向を示している。令和7年度の数字は初めて特別支援学校の生徒数を通級の生徒数が上回っていることもあり、今後こうした傾向は引き続き続いていくものと考えている。


○なかい隆晃委員
 令和4年度に文部科学省が全国の通級指導の傾向を調査した際は、言語障害がトップで24.5%LDが18.7%であった。兵庫県はLD等が突出して多いが、LD等の等の表現によって数値が高いと認識して良いか。


○特別支援教育課長
 文部科学省と兵庫県の整理が完全一致しているわけではないため、多くなっていると思われる。
 言語・情緒・自閉症以外の発達障害や学習障害について、LD等という括り方にしている。5ページの表は文部科学省の調査で示されている障害種別の区分と少し異なるため、必ずしも完全比較できるものではない。LDには言語の部分でも困難を抱えている児童も含まれているため、その子にとって最も望ましい教育を目指し、LDの中でも画一的な指導にならないようにしている。この点でも、全国の傾向と大きく違いがあるものではないと考えている。


○なかい隆晃委員
 続いて、他の都道府県と比較した、兵庫県の通級による指導体制についてお尋ねする。令和4年の文部科学省の調査によると、公立中学校の通級指導の生徒数は、東京都、愛知県、大阪府と続き、兵庫県が1,182人、また公立高校は第1位が兵庫県で178人という結果であった。兵庫県では、公立中学・高校において通級指導を受ける生徒数は上位に位置していた。通級指導体制を取る学校数を見ると、公立小学校では東京、埼玉、愛知、千葉と続き、兵庫県が第5位で529校。公立中学校では東京、愛知と続き、兵庫県が第3位で225校という結果であった。高校も東京、群馬と続き、兵庫県が第3位で31校と上位に入っており、他の都道府県と比べても先進県であると感じている。そこで、兵庫県の通級による指導体制の現状と課題についてお尋ねする。


○特別支援教育課長
 通級指導に関わる教員に対する研修の充実が求められていると思う。引継ぎ教育についても、課題と認識している。
 指導体制について、兵庫県の場合は小中高いずれも自校の先生が通級指導を行う拠点校方式と、拠点校から通級指導を担当する教員が別の学校に行って教える巡回方式、この組合せで実施している。文部科学省が公表した令和5年度通級による指導実施状況調査によると、小学校の全学校数のうち、通級指導を受けている児童が在籍している学校の割合が全国は77.5%本県の場合は94.2%である。中学校の場合、全国平均で58.8%のところ、本県は91%、これは全国1位の数値である。つまり、どこの学校に行っても通級指導を受けられる体制整備が、他県と比べて進んでいるといえる。特に高等学校については先進的に進めているため、令和5年の段階でも、通級指導を受けた高校生の人数は全国で1位となっていた。その後も状況は大きく変わっていないと聞いており、また、本県の生徒数も更に増えているため、先進的な取組ができていると思う。
 課題については、通級指導のニーズが高まる中で指導者の育成が急務だと考えている。様々な教員が特別支援教育に当たり前に携わる時代になっているので、指導者研修に力を入れて取り組んでいる。また、小学校で特別支援教育を受け、中高と上がっていく際の引継ぎにより、指導の連続性を確保していくことも一つの課題である。これもガイドライン等を通じて、周知を図っているところである。


○なかい隆晃委員
 9ページのデータでは巡回校が令和3年度の3校から令和7年度は26校、約8.7倍の増加で、割合が非常に高い。また、通級指導を受ける児童の在籍率が全国77.5%、兵庫県は94.2%の結果であるということで、確認が取れた。他の都道府県と比べて先進的であるということが伺えた。
 最後に境界知能についてお尋ねする。所管が福祉部かもしれないが、教育現場において今後より一層注視していかなければならないと感じている。境界知能とは、IQ――知能指数が平均的な数値と知的障害とされる数値の間の領域として、医療関係者等の間で使われている。専門家の推計では、理論上は約1,700万人、約7人に1人が該当すると言われている。人口の約14%、1クラス35人学級であれば、約5人に相当する。ボーダーやグレーゾーンといった文言も最近はよく耳にする専門用語である。そこで、この境界知能について、当局の見解をお尋ねする。


○特別支援教育課長
 以前、特殊教育と言われていたところから現在の特別支援教育に転換したポイントの一つが、数値で分かるものや指数、障害の診断だけをもって画一的に指導を施していくのではなく、どういった教育を受けていくことが重要なのかということを、本人や保護者の要望も適切に聞き取りながら決めていく。そういった仕組みになってきたことがポイントだったと考えている。
 例えば、知能指数をはじめとする検査は、発達の状態を知るために有用ではあるので、福祉とも連携しながら、気になる場合はできるだけ早期に受けてもらうことも含めて、こどもの状態を知るように推奨している。それでつまずきや、学校生活への不安が生じたときには、その数値だけにとらわれるのではなく、その子の状態がどうなっていて、そして将来どういうふうな姿になっていきたいのかということをきめ細かに教育相談をしながら、適切な学びの場を選択していくことが重要だと思っている。
 その学びの場というのが、先ほどの通級を含めた、通常学級から特別支援学校までの連続性のある場である。これらのどこの学びの場で学んでいくのかは画一的ではないので、小学校入学時には特別支援学級だったが、学年が上がっていく中で変わっていくこともある。大事なことは選択したそこの場で、充実した教育が受けられるようにしていくことだと思うので、そういった指導体制が構築できるよう、今後も教員研修や制度の構築を進めていきたい。


○なかい隆晃委員
 境界知能と言われるいわゆるボリュームゾーンが、潜在的にいると言われているので、今後対応を注視していかなければならないと思っている。個別の教育支援計画等を作って、きめ細かく対応していくのが大切である。令和5年度、個別の教育支援計画の引継ぎが必要な生徒のうち進学先の高等学校への引継ぎを行った生徒の割合は中高で93.7%という現状値があった。ここで少し安心したが、令和7年度の目標値が97.6%、令和10年度が100%と高い目標レベルを掲げている。個別の教育支援計画をしっかりと施していくとともに、人材育成も課題と認識しているので、引き続きこの境界知能について注視していく。(以上)

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