〇なかい隆晃委員
職業教育を主とする学科、特に工業科について質問する。
全日制高校131校に対して、工業科を有する高校は12校。参考資料2によると、令和7年5月1日現在で工業科に通う生徒数は、全生徒数7万4,057人に対して5,511人、全体の約7%である。普通科に所属する生徒数5万683人、全体の約68%と比較すると、1桁の割合という小さな母集団であるが、兵庫県内の理工系人材の育成と獲得という県政課題に着目すれば、県立高校の工業科の在り方は今後の大切な視点だと推察する。
そこで、28ページの「ひょうご匠の技」探求事業及びマイスター・ハイスクール事業について質問する。「ひょうご匠の技」探求事業は12校全てで実施ということだが、全体を通しての実施効果はどのようなものか。
また、マイスター・ハイスクール事業の目的はバッテリー人材の育成であり、昨年度は拠点校に姫路工業高校、連携校に洲本実業高校であった。今年度は連携校を新たに追加し、連携規模、戦略的な枠組みの拡大を感じるが、今後の事業の方向性について伺う。
○高校教育課長
「ひょうご匠の技」探求事業は長年継続している事業であり、主たる目的は、技能検定、あるいは資格取得を目指す生徒を支援するというものである。事業の実施効果としては、技能検定の受験者数の増加であり、令和5年度の395名から令和6年度は522人に大幅に増加している。このようにチャレンジしていくような生徒、新しい技術を身に付けていくような生徒を育成する点に効果があると考えている。
ぜひ申し上げたいのは、全国の技能コンテストで様々な成果が上がっている。例えば、昨年度若年者ものづくり競技大会電気工事部門で銀賞を取ったり、メカトロニクスで敢闘賞を取っている。さらに、昨年度の高校生ものづくりコンテスト全国大会化学分析部門で姫路工業高校の生徒が優勝し、文部科学大臣賞をもらったという成果もある。
また、マイスター・ハイスクール事業の今後の方向性について、本事業はもともと国の事業であり、今後の日本の産業を見据えた、カーボンニュートラルな社会の在り方、産業の在り方を探っていくものである。
簡単に言えば蓄電池の開発について探求していくものだが、大阪大学や複数の企業を束ねる電池工業会とチームを組み、高校生が蓄電池を学ぶだけではなく、蓄電池の有用性を小学校にアピールしていくなど、社会的にカーボンニュートラルの考え方を醸成していく事業である。
今年2年目の事業だが、ようやく大学や企業との連携が進んできたので、いよいよ具体的にカーボンニュートラルをどう取り扱っていくかというような研究が見られると期待している。
○なかい隆晃委員
姫路工業高校は、姫路港を中心とした非常にポテンシャルの高い次世代の産業の集積地にあるため、戦略的に拠点校になったのかなと推測した。近畿経済産業局のデータでは、今後5年間、近畿周辺で約1万人のバッテリー人材の雇用が見込まれている。その上でこういった事業を展開していくのは追い風となるので良いと思う。
もう1点、参考資料で工業科の改編というテーマで在り方が検討されているが、外部人材、地域産業の変化、地域支援というキーワードを踏まえ、工業高校の更なる魅力づくりについて、当局の見解を伺う。
○高校教育課長
工業科の改編については、県立高等学校教育改革第三次実施計画を踏まえながら、今の時代に合った在り方を考えていきたい。その中で、外部人材や地域企業とどう結びついていくかが鍵だと考えている。現時点では、それぞれの高校や地域でつながっているが、組織的、横の連携は不十分であるため、工業高校ごとにコンソーシアムの連携の在り方を整理した上で、実際的な産業と影響し合うような工業高校を目指したいと考えている。
○なかい隆晃委員
先日、神戸土木事務所の職員が県立兵庫工業高校で授業を行ったのを見学してきた。こういった連携も新たな外部人材の活用として良いと思う。職業学科の中でも特に工業・農業・水産業はしっかりと支援が必要だと思う。今後も職業学科について注視していきたいが、最後に教育長からコメントがあればお願いしたい。
○教育長
今は日本経済においても高卒人材は期待されており、就職倍率も非常に高いと聞いている。一方で、人材育成の体制づくりに課題が残り、現在は学校ごとの取組に収まってきている。今年度の6月補正予算においても、産業界から県立学校での事業整備をやってほしいという要望があった。
その上で、地域と連携した工業高校、商業学科の育成は今後の日本経済にとっても重要であると考えているので、第三次実施計画の期間中にしっかり取り組んでいきたい。
